名もなきビルが『天気の子』の聖地に。マクドナルド西武新宿駅前店というロケ地の境界線



(※写真は2019年撮影)
新宿の西武新宿駅前を歩いていると、必ず目に入る建物です。

この日は、あいにくの雨模様でしたが、逆にそういう日だからこそ、この場所を見上げると、どうしてもあの映画の風景が重なりますね。

ここは、知る人ぞ知る「あの雨の物語」の聖地。
新海誠監督のアニメ映画『天気の子』で、家出少年の帆高が陽菜からビッグマックをもらい、物語の歯車が動き出したのがここ「マクドナルド 西武新宿駅前店」です。

ではなぜ、数ある店舗の中でここだったのか。
そこには都市の「境界線」としての妙があるように思えます。この場所は、賑やかな新宿の中心地からディープな歌舞伎町へと切り替わるエアポケットのような境界地とも言えるのは、ここを歩いてみると誰もが感じるところですよね。そういう、どちらの側にも属せない“境界線上の存在”だった帆高が佇む場所として、あまりに必然で切ない立地だったのかもしれません。

また、建築の視点でこの建物を見てみると、違った面白さが増します。
ここは有名建築家や大手ディベロッパーが手がけたランドマークではなく、地元の不動産オーナーと中堅ゼネコン(松下産業)が建てた、言ってしまえば「ごく普通の商業ビル」です。
ビル自体は名もなき存在ですが、そこに掲げられたマクドナルドの黄色いMのサインと赤い看板だけが、圧倒的な記号として都市の風景に溶け込んでいます。
だからこそ、映画では東京のなにげないリアルな日常が宿っているように感じられたのかもしれないですし、名もなきビル(ほぼ)だからこそ、現実とフィクションの境界が溶け合い、新海監督の描く『どこにでもある、でも特別な一瞬』の舞台として完璧にハマったと僕は思っています。

そんなことを妄想しながら、映画を象徴するような雨のノイズに包まれてビルを見上げると、かつて2階の窓辺で救われた少年の姿が、今もそこに佇んでいるような気がしてきますよ。

地図 

マクドナルド西武新宿駅前店 / 東京都新宿区歌舞伎町1


久々にあの雨の物語を観返したくなった方は、ぜひ公式の予告編で空気感を思い出してみてください。


映画『天気の子』予報①(youtube/東宝MOVIEチャンネル)

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