ハンズ渋谷店閉店に寄せて。スキップフロアが繋いだ「日常探検」の記憶



昨日、ハンズ渋谷店が閉店する、というニュースが飛び込んできましたね。

A tribute to the closing of Hands Shibuya store: Memories of "everyday exploration" connected by the skip-floor design.
ハンズ渋谷店
報道によると、ハンズ側は営業を続けたかったみたいですが、建物の老朽化などもあってオーナーさんとの契約更新がまとまらなかったのだそう。

ということは、やはり取り壊しなんですかね?

もしそうであれば、渋谷のカルチャーを長年支えてきたあの巨大な“街の道具箱”とともに建物まで姿を消してしまうと思うと、なんだか胸の奥がツンとするような寂しさがあります。

学生時代の記憶と、建築模型の材料

僕にとってハンズ渋谷店は、学生時代に建築模型の材料を買いに走った店舗でした。
スチレンボードやアクリル板はもちろん、B1階から7階まで、A・B・Cの3つのゾーンに細かく分かれたフロアをぐるぐる巡れば、頭の中の設計図をカタチにするためのピースが見つかりました。

卒業してからも、「とりあえずハンズに寄ってみるか」と足を運んでは、たくさんのインスピレーションをもらっていたんですよね。

オルガン坂の傾斜とリンクする「スキップフロア」

建築や都市の視点からこの建物を振り返ってみると、やっぱりその空間構造だなと思います。ハンズ渋谷店に行ったことがある人なら、階段を数段上り下りするだけで次のエリアへと自然に繋がっていく、あの独特の感覚を覚えていますよね。

ハンズ渋谷店では隣接する「オルガン坂」の急な傾斜とリンクするように、フロアが階段状にズレて繋がる「スキップフロア」が採用されていました。 坂道の起伏という渋谷特有の地形の制約を、そのまま内部の動線的な魅力へと昇華させた建築で、フロアを移動すること自体が、まるで立体的な路地裏を歩いているような“日常探検”のワクワク感に満ちていました。あの迷宮みたいな空間体験は、フラットで効率重視な最近のビルではなかなか味わえないものですよね。

浜野安宏と東急ハンズが遺したもの

「モノを売るだけでなく、生活を開拓するヒントを提案する」というハンズの物語の根底には、創業期のコンセプトメイキングに深く関わった伝説的な都市プロデューサー・浜野安宏氏の存在があります。

70年代、渋谷の街を「若者の文化発信地」へと塗り替えていった浜野氏らの先進的な思想は、1978年に誕生したこの「東急ハンズ」渋谷店の空間にこそ、最も色濃く結晶化していたんじゃないかと思います。
単に既製品を棚に並べるのではなくて、素材や道具を通じてクリエイティビティそのものを刺激する空間を構成する。それこそが、当時の東急ハンズが渋谷という街に打ち立てた金字塔だったと思えてなりませんね。

時代が移り、社名やブランドロゴが現在の「ハンズ」へと変わっても、あの迷宮のようなフロアに息づいていたのは、間違いなくその創業期のDIY精神だったなと感じます。

契約満了や老朽化という時代の波には抗えなかったのかもしれないですが、あの坂道と共鳴したスキップフロアで得た「創る喜び」の記憶は、これからも消えることはありませんね。

ありがとうでした、ハンズ渋谷店。

地図 

ハンズ渋谷店/ 東京都渋谷区宇田川町 

→ 詳細を「まちなみ視点 Map(地図)」で見る 

関連リンク 

ハンズ渋谷店 営業終了のお知らせ -ハンズ

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